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配筋検査とは?検査項目・チェックポイント・写真撮影の注意点を解説

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配筋検査は、鉄筋の位置・本数・かぶり厚さなどが設計図どおりかを確認する工程です。誤りがあると、強度不足やひび割れ、耐震性能の低下など深刻な不具合につながります。

そこでこの記事では、配筋検査の概要や担当者、必要な道具・機材、チェックのポイントまで、現場の実務者目線でわかりやすく解説します。

配筋検査とは?

配筋検査とは、鉄筋コンクリート構造物(RC構造)をつくる際に、配筋された鉄筋の配置が設計図通りなのかを確認する作業のことです。

なお配筋検査は、国土交通省の「官庁営繕事業の建設現場におけるデジタルデータを活用した配筋検査試行要領(令和5年3月)」といった基準でも、コンクリート打設前に実施すべき必須検査として定められています。この工程を省略すると後から修正できず、構造品質を著しく損ないます。

構造物としての品質を下げないためにも、確実に必要となる検査です。

配筋検査の目的(3つのポイント)

配筋検査の目的は、単に鉄筋を確認することではなく、構造物の安全・品質・耐久性を保つことにあります。以下の3つが主な目的です。

目的

内容

構造安全性の確保

鉄筋の位置・間隔・本数が設計通りであることを確認し、強度・耐震性を保証する

品質確保

異形鉄筋の加工精度・結束方法・かぶり厚さが適正かを確認し、腐食・剥離を防止する

施工不良の予防

鉄筋の浮き・ずれ・干渉・継手不良などを早期発見し、コンクリート打設後の欠陥を防ぐ

鉄筋検査を怠ると、ひび割れや鉄筋の露出などの欠陥が発生するおそれがあります。補修コストや信頼低下につながることから、設計図はもちろん、基準や指針の条件(被りやピッチなど)との整合性も確認しましょう。

配筋検査は誰が行うのか?

配筋検査は、施工者・監理者・発注者(施主)・第三者検査機関など、複数の立場によって実施・確認されます。以下に、一般的な鉄筋検査の手順をまとめました。

  1. 施工者(現場監督・施工管理者)が設計をもとに確認する
  2. 監理者が整合性を確認する
  3. 発注者や施主(場合によっては第三者機関)が確認する

つまり、施工者による初期チェックが、後の検査合否を左右します。後述するよくある不合格のポイントや写真撮影のコツをチェックし、スムーズに検査をクリアできる体制を整備しましょう。
※近年では、ISO9001認証を取得した第三者検査会社に委託するケースも増えています(大規模工事など)。客観性と透明性の確保が図れるため、受注者における品質維持はもちろん、発注者側の信頼性向上にもつながります。

配筋検査を行うタイミングと注意点

配筋検査は、コンクリート打設前の最終段階で行われます。このタイミングを逃すと、鉄筋がコンクリートで隠れてしまうため再確認ができません。

以下に、構造部位ごとの検査のタイミングを整理しました。

工程

検査実施タイミング

基礎配筋検査

床盤・基礎梁の鉄筋組立完了後

柱・梁配筋検査

型枠設置前(または途中)

スラブ配筋検査

スラブ鉄筋敷設後

壁配筋検査

壁筋・補強筋完了後

なお、監理者や発注者が立ち会う場合もあるため、打設日から逆算して検査日を計画します。また、後ほどの確認ができるように、写真撮影・寸法記録を検査のタイミングで実施し、すぐに共有するのがおすすめです。

配筋検査で使う主な道具一覧

配筋検査では、鉄筋の位置・間隔・かぶり厚・径・ピッチなどを正確に測定・記録するため、次のような専用道具を使用します。

分類

道具名

用途

測定器具

スケール(メジャー)

鉄筋間隔・かぶり厚の測定

測定器具

かぶり厚測定器
(カバーチェッカー)

コンクリート打設後にかぶり厚を非破壊で確認

検査補助具

ピッチゲージ

スターラップやスラブ筋の間隔確認

検査補助具

レベル棒・レーザー墨出し器

鉄筋の高さや水平確認

記録機器

デジタルカメラ・スマホ

写真記録

記録機器

チェックリスト・検査表

検査内容の記録・是正履歴の管理

公共工事では、発注者から機器の「校正証明書」を求められる場合があります。証明書付きの機器を準備しておくと安心です。

配筋検査の主なチェック項目一覧

配筋検査の参考として、以下に日本建設業連合会が提供している鉄筋工事の配筋チェックシートの項目を整理しました。

  • 鉄筋の種類(設計図書と一致しているか)
  • 鉄筋の径・本数(設計図書と使用鉄筋が一致しているか)
  • 配筋間隔(スターラップ・スラブ筋・壁筋のピッチが図面どおりか)
  • 定着長さ(規定の長さが確保されているか)
  • かぶり厚(指定厚さが確保されているか)
  • 拘束状況(結束線の緩み・抜け・損傷がないか)
  • 補強筋の位置(開口部・梁端部・スラブ端部の補強筋位置が正しいか)
  • スペーサー(材質・配置間隔が適切か)
  • 清掃状況(型枠内のゴミ・鉄粉・切断片がないか)

(参考:日本建設業連合会「鉄筋工事(Excelデータ)」

チェックは目視・計測・撮影を組み合わせて行います。「コンクリート標準示方書」などを参照し、基準を満たしているか確認します。

また、コンクリート構造ごとにチェック項目が変化します。日本建設業連合会のExcelデータを参考にしながら、必要な項目をチェックしていきましょう。

よくある不合格の原因と是正時の対応

配筋検査では、設計との不一致や施工ミスが原因で「不合格」になるケースも少なくありません。特に以下の項目は、現場で頻出する不適合ポイントです。

原因

具体例

対応策

① 鉄筋の間隔ずれ

・スターラップ間隔が規定より広い

・結束線の再調整

・追加結束

② かぶり厚不足

・鉄筋が型枠に接触

・スペーサー不足

・スペーサーの再配置

・鉄筋浮かせ調整

③ 継手位置の集中

・定着長さや重ね長さが不足

・配筋ずらし

・溶接で対応
(構造設計者の承認が必要)

④ 鉄筋の変形

・組立時に踏みつけた

・搬入時の変形

・曲がりの修正および交換

⑤ 写真記録の不足

・撮影漏れ

・撮影角度不適切

・再撮影
・キャプション追加

再検査では、「是正前後の比較写真」「是正報告書」「立会確認印」が必要です。是正の管理を効率化するためにも、データを即座に共有できるクラウドアプリなどを用意しておくとよいでしょう。

配筋検査の写真撮影ポイント【正しい撮り方】

配筋検査では写真撮影が必要であり、その撮り方ひとつで「検査合格率」や「報告書の信頼性」が大きく変わります。
ここでは、正しい写真の撮り方やルール、写真整理時の注意点を解説します。

撮影の基本ルール

配筋検査の写真撮影では、以下の基本ルールを守ることが求められます。

  • 全景・中景・近景の3段階で撮影する
  • スケール・黒板・対象物を同一フレーム内に入れる
  • 平面+斜め(立体感)を意識して角度を変える
  • 水平を保ちつつ焦点を明確にする

撮影後は毎回、ボケやブレがないか確認します。また、写真撮影をするカメラについて、必ず以下の仕様を満たすようにしましょう。

項目

要件

写真の種類

デジタルカラー写真

解像度

約1,200×900~2,000×1,500ピクセル

有効画素数

100~300万画素程度

ファイル形式

JPEG(圧縮率は高すぎないこと)

編集禁止

加工・補正は禁止(小黒板文字挿入は可)

合わせて、写真を撮影する際には、黒板を写真枠内に収めることが重要です。以下の情報が書かれた黒板を、撮影場所ごとに用意してください。

  • 工事名
  • 工事種目
  • 撮影部位
  • 寸法・規格・表示マーク
  • 撮影時期
  • 施工状況
  • 立会者名・受注者名
  • その他必要情報

(参考:国土交通省「営繕工事写真撮影要領(令和5年版)」 / 「写真管理基準(案)平成30年3月」

写真整理の注意点

配筋検査時に撮影した写真は、正しく整理して提出することが欠かせません。以下に、「営繕工事写真撮影要領(令和5年版)」に記載されている整理ルールをまとめました。

項目

内容

注意点

整理単位

工事種目・分類ごとに整理(階数・部位別)

監督職員と協議し決定

撮影位置図

撮影場所が分かる平面図・構造図を添付

写真アルバムに併記

黒板不明瞭時

文字が読めない場合は別途テキスト添付

電子黒板情報も可

アルバム作成

写真整理後に1部作成(紙または電子)

JPEG原本添付が原則

また、鉄筋検査の報告書用に写真台帳をまとめる必要があるため、写真データ1枚ずつの名称をルール化しておくことも大切です。

配筋検査でチェックリストを活用する方法

配筋検査では、チェックリストの活用が品質確保の第一歩です。以下に、チェックリストを用いるメリットをまとめました。

メリット

内容

検査漏れ防止

各部位(基礎・柱・梁・スラブ)ごとに必須項目を網羅できる

記録の透明化

是正箇所や立会記録を残し、後日の検証が容易になる

報告書の自動化

写真・是正履歴をリスト連動で整理できる

また、チェックリストは自作することも可能ですが、国や自治体などが鉄筋検査用のExcelデータを配布しています。自社で用意できない場合は、信頼できるテンプレートデータをダウンロードするのがおすすめです。

一般的な配筋検査の流れ        

配筋検査の流れは、計画→自主検査→立会検査→是正→再検査→記録・提出の順で行われます。

ステップ

内容

検査計画

工程表に検査日程を組み込み、立会者を事前調整する

自主検査

施工者が配筋図に基づき内部確認する
(自主チェックリスト使用)

立会検査

監理者・第三者検査機関が確認する

是正・再検査

不合格箇所を修正し、是正報告書と再検査写真を提出する

記録・提出

検査写真+チェックリストを整理し、工事監理報告書に添付する

打設日や他工種との重なりを考慮し、「配筋検査→型枠検査→コンクリート打設」の順で確実に行うのが鉄則です。

配筋検査時の写真撮影・整理・提出を効率化する方法

現場では、配筋検査の写真撮影・整理・報告書作成に多くの時間が割かれています。そこで、近年注目されているのが「デジタル施工・クラウド写真管理」です。

ここでは、具体的な2つの効率化方法を紹介します。

【方法1】アナログ管理からクラウド管理に切り替える

今まで、「デジカメ撮影→パソコン整理→USB提出」といった動き方をしていたのなら、クラウド管理に切り替えて、撮影・管理を一元化するのがおすすめです。

クラウド管理に切り替えれば、撮影後すぐにクラウドへ自動保存できるため、現場と事務所で連携しながら、報告書を準備できます。また、配筋検査に必要な資料をクラウドにまとめられることから、「資料の持ち忘れ」や「提出漏れ」を防げる点も魅力です。

さらには、共有用のURLを準備することにより、発注者への共有もスムーズ化できます。

【方法2】「ミライ工事写真」でチェック・写真管理を効率化

配筋検査において重要なのは、撮影・整理・提出までの一貫した精度とスピードです。

しかし実際の現場では、撮影後に黒板情報を入力し、データをパソコンで整理・印刷して提出するまでに1日近くかかることもあります。加えて、ルール化せずにただクラウド管理をするだけでは逆に非効率になるケースも少なくありません。

そして、この非効率を解決するのが「ミライ工事写真」です。

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配筋検査は「構造安全性を守る最終チェック」

配筋検査は、コンクリート工事における構造安全性を確保するための重要工程です。

鉄筋の位置や本数、かぶり厚さなどを正確に確認し、記録を残すことで施工品質を担保します。ただし、従来の紙や写真管理ではミスや漏れが発生しやすい点に注意しなければなりません。

配筋検査の品質を高めるには、撮影から提出までをデジタル化することが重要です。

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