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出来形写真とは?公共工事で必要な理由と正しい撮影方法・黒板の書き方・管理のポイント

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「出来形写真って、結局なんのために撮るの?」

公共・民間工事に携わる方なら、一度は疑問に思ったことがあるでしょう。現場監督や技術者には常識でも、初めての担当者には「黒板に何を書く?」「いつ撮る?」と迷いやすい内容です。

そこでこの記事では、出来形写真の基礎から撮影のルール、黒板の書き方、工種ごとの実例、さらに効率的な管理方法までをわかりやすく解説します。

出来形写真とは?公共工事における重要性

「出来形写真」とは、工事が設計図や仕様書どおりに仕上がっていることを証明する写真のことです。公共工事では、完成後に隠れる部分(配管・鉄筋・路盤厚さなど)を記録するために欠かせません。

また、国土交通省が公表している「工事成績評定実施基準」でも、出来形管理写真は工事成績評定の対象になるほど重視されているのが特徴です。写真の有無や質がそのまま会社の評価につながるため、工事関係者は、必ず出来形写真の取り方や書き方を把握しておきましょう。

(出典:国土交通省「工事成績評定実施基準(PDF)」

※自治体ごとに撮影ルールが決められている場合もあります。国のルールに合わせて発注先の自治体ルールも確認しておきましょう。

出来形写真が必要な理由(提出義務と法的根拠)

出来形写真は、法律や契約上で必ず提出しなければならない資料です。

特に公共工事では、以下を保証する目的で写真の撮影と提出が義務づけられています。

  • 契約遵守の証明
    設計図や仕様書どおりに施工されているかを裏付ける
  • 透明性の確保
    税金で行う公共工事において、市民や発注者に説明責任を果たす
  • 品質保証
    将来的な不具合や事故を防止するための客観的な証拠となる

また撮影が必要なのは、工事が完成した後に内部構造を直接確認することができないためです。発注者(国・自治体)が工程ごとに状況や品質をチェックするのは困難であることから、「契約通りの工事が行われた」といつでも確認すること、そして後々のトラブルの原因を確認できることを目的に、出来形写真が必要とされています。

出来形写真の撮り方【基本ルール】

出来形写真は「とりあえず撮ればいい」ものではなく、国土交通省の定める基準に従って正しく撮影する必要があります。

(出典:国土交通省「営繕工事写真撮影要領」

ルールを守らなければ「再撮影」「検査の遅延」「評価の減点」といったリスクが生じてしまうかもしれません。トラブルを避けるためにも、以下で紹介する撮影の基本手順と、写真に掲載する黒板の書き方をチェックしておきましょう。

出来形写真撮影の基本手順

出来形写真は「準備 → 撮影 → 確認」の流れを守れば、ミスや再撮影を防げます。各段階のポイントを整理しました。

手順

ポイント

詳細内容

1. 撮影前の準備

黒板の記入

工事名・工種・部位・寸法などを正確に記入

撮影機材の確認

カメラ・スマホの充電、レンズの汚れチェック

計測器の用意

メジャーやレベル計をあらかじめ準備

2. 撮影時のポイント

3段階撮影

施工前・施工中・施工後を必ず撮影

黒板の配置

画面の約1/3を占めるように配置(大きすぎ・小さすぎに注意)

ピント・明るさ

文字や寸法が鮮明に写るよう調整

撮影角度

施工範囲全体が収まる位置から撮影

3. 撮影後の確認

写真の品質

ブレがないか、光の反射で見えづらくないか確認

枚数確認

「前・中・後」の必要な写真が揃っているか確認

黒板内容

誤字脱字や記載漏れがないか最終チェック

出来形写真は、工程ごとに黒板+施工範囲をセットで残すことが鉄則です。撮影フローを習慣化すれば、検査時のやり直しが減り、提出作業もスムーズになります。

出来形写真の黒板の書き方手順

出来形写真に欠かせないのが「黒板(工事用黒板)」です。

黒板の記載が不十分だと、せっかく撮影した写真も「何を示しているのか不明確」と判断され、再提出を求められることがあります。以下に記載する基本項目をまとめました。

項目

記載内容のポイント

工事名

契約上の正式名称を明記し、他の工事と混同しないようにする

撮影日時

日付だけでなく時間も入れておくと、施工プロセスを時系列で追いやすい

施工箇所

図面番号や測点番号など、具体的なエリアを明示する

施工業者名

実際に作業を担当した会社名を記載する

立会者名

現場で確認に立ち会った監督員や担当者名を記入すると信頼性が高まる

工種

土工・鉄筋・舗装など、どんな作業を行ったかを明確にする

目的

「進捗確認」「完成確認」「安全記録」など撮影の意図を加える

施工状況

「基礎配筋完了」「舗装路盤仕上げ」など具体的な状態を簡潔に示す

天候

雨・晴れなど、作業に影響する気象条件を記載する

備考

その他、注意点や特記事項を追記する欄として活用

これらを正しく記載することで、第三者が見ても「どの工事」「どの場所」「どの状態」を撮影したのかが一目でわかります。

また黒板を手書きする際には、文字を太く・読みやすくするほか、監督員や第三者が理解できない略称は使わないように気を付けてください。

出来形写真の代表的な工種ごとの撮り方事例

出来形写真の撮り方がわからないとお悩みの方向けに、工種ごとの撮影方法を事例つきで紹介します。

なお本項では、以下の自治体資料を基に事例を解説しています。

掘削工事における出来形写真

出典:山口県「土木工事写真の撮り方と写真管理のポイント(令和3年3月)」

掘削工事では、土質や岩盤の変化点ごとに写真を撮影し、黒板に「工事名・工種・測点・立会者」などを明記します。

特に岩盤が露出した場合は、基準高を示すポールや丁張を明確に写し込み、判定委員や監督員立会いの様子も記録すると信頼性が高まります。全体写真・近接写真・黒板拡大の3枚を揃えると不備防止に有効です。

基礎工事における出来形写真

出典:山口県「土木工事写真の撮り方と写真管理のポイント(令和3年3月)」

基礎工事(砕石基礎)では、施工前・施工後の下がり高さを丁張から計測し、その差で厚さを確認します。

施工後は幅も合わせて測定し、スタッフやピンポールを使って実測寸法が写るよう撮影することが重要です。全景・計測状況・近接の3枚を揃え、黒板に略図や測定値を記載することで、施工精度を客観的に証明できます。

コンクリート工事における出来形写真(建築・土木共通)

出典:東京都建設局「工事記録写真撮影基準(令和6年4月)」

コンクリート工事では、打設前の型枠寸法や鉄筋配置、打設後の出来形を確認する写真が必須です。

長大な構造物では全景だけでは目盛が判読できないため、全景撮影に加えて基準数字を表示し拡大撮影を組み合わせます。黒板には工種・寸法・測点を明記し、近接撮影で数値が明確に読めるようにすると信頼性が高まります。

舗装工事における出来形写真

出典:東京都建設局「工事記録写真撮影基準(令和6年4月)」

舗装工や路盤工では、各層の厚さを正確に確認できる写真が求められます。

断面測定では同一箇所で水糸を基準に厚さを測定し、黒板には測点や層区分を明記します。また、下層・上層路盤は施工ごとに撮影し、舗装層についてはコア採取位置を図面と照合できるように記録します。

全景・近接の両方を組み合わせ、施工状況と数値が判読できる写真を残すことが重要です。

出来形写真で不備が起きやすい原因と対策

出来形写真は「撮ったつもり」でも、検査や提出時に不備を指摘されるケースが少なくありません。以下に、ありがちな失敗とその防止策を整理しました。

よくある問題点

有効な対策

工種や寸法が書かれておらず、写真だけでは判断できない

黒板記入をチェックリスト化し、必須項目を現場で確認してから撮影する

全体が写っていない、ピントがずれて判読不能である

撮影ルールを社内マニュアル化し、角度・距離・黒板の位置を統一する

施工前・施工中・施工後の3枚が揃っていない

施工段階ごとにセット撮影し、同じ位置から「前・中・後」を連続撮影する

フォルダ名やファイル名がバラバラで提出に時間がかかる

データ整理をルール化し、「工事名+測点+日付」など分かりやすい命名に統一する

不備の原因は「人によってやり方が違うこと」です。工期短縮や再撮影防止のため、全員で統一ルールを徹底しましょう。

出来形写真の管理と提出方法

撮影した写真は、ただ保存しておくだけでは不十分です。適切に管理・整理し、発注者へ提出できる形にまとめる必要があります。

まず、写真は以下のポイントを押さえて管理しましょう。

  • 工種ごと・日付ごとにフォルダを分ける
  • 「工事名_測点番号_日付」のようにファイル名を統一する
  • クラウドや外付けHDDなど、複数箇所にバックアップをとる

また、国交省直轄工事などでは、提出形式が細かく定められています。

たとえば、撮影箇所一覧表の「撮影頻度」に従い、必要写真を整理しなければなりません。さらに原本データを電子媒体(CD、DVD、USB、クラウド提出など)に格納したうえで提出する必要があります。

加えて注意しなければならないのが、写真編集は信憑性を守るために禁止されている点です。不安なら、J-COMSIA認定の改ざん検知機能があるシステムを用いるのが安心です。

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出来形写真の撮影・管理を効率化する方法

出来形写真は、正しく撮影・整理・提出するだけでなく、効率的に運用する工夫が欠かせません。

特に現場では人手不足や時間的制約も多く、「もっと簡単に記録できる方法はないか?」という声が増えています。そこでここでは、現場で導入が進んでいる効率化の3つの方法を紹介します。

【方法1】スマホ・タブレットでの撮影

出来形写真は、専用カメラだけでなく、スマホやタブレットを活用することで撮影がスピーディーになります。

最新のスマホは高解像度カメラを搭載しており、国交省の「写真管理基準」で求められる100万〜300万画素以上での撮影に対応可能です。また、現場で即座に撮影・確認・共有できるのが強みです。

普段から利用しているスマホやタブレットであるため、デジカメ等の持ち運びの手間を減らせます。

【方法2】出来形写真のクラウド管理

撮影データをクラウドに保存すれば、出来形写真の整理や提出を効率化できます。

これまでは、撮影したデータをPCに移動し、USBやDVDに焼き込んで社内共有をするのが一般的でした。一方でクラウド管理を活用すれば、即座に関係者間で写真を共有可能です。

さらに自動バックアップも可能になり、データ紛失といったリスクを減らせます。

【方法3】写真管理アプリの活用

前述した2つの効率化に対応しつつ、さらに出来形写真の撮影管理を効率化したいなら、撮影から提出までの流れをワンストップ化できる写真管理アプリを導入するのがおすすめです。

写真管理アプリは、撮影から電子黒板作成、整理、提出出力まで自動化でき、品質を保ちやすいのがメリットです。

人為的なミスや手戻りを大幅に減らし、誰でも一定品質で出来形写真を提出できるため、作業効率化や品質アップのためにも、アプリ導入を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

出来形写真の撮影・整理・報告を効率化したいなら工事写真アプリがおすすめ

ここまで、出来形写真の役割や撮影のコツ、不備を防ぐ方法、提出の流れ、そして効率化の工夫まで解説してきました。

工事写真は「現場の証拠」であり、公共工事では必ず求められるものです。しかし現場の声を聞くと、「撮影や黒板記入に時間がかかる」「整理や台帳作成が面倒」「提出フォーマットに合わせるのが大変」といった悩みがつきません。

そこでおすすめしたいのが、無料から使える工事写真アプリ「ミライ工事アプリ」です。このアプリを使えば、撮影から台帳作成・出力までスマホひとつで完結できます。小規模工事に利用できる無料プランから使えるため、この機会にアプリをダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

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